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2004.04.05

絵を”描く”ということ(続:背景を描けない”絵描き”)

おお,おいらの出したお題におふた方からトラックバックが。感謝感謝。

というわけで,正確には続きというわけではないのですが,絵描きの話をもう少し。

おいらが最初に書いた,

まぁ無理もないんです。人物を描くという事と背景を描くという事で,求められている技能が全然違うんですし。ただ,背景を描くアプローチがきちんと工学・建築学的に理論だって成立していれば,それを人物に適用することで人物画をも描くことが出来るわけですね。

その辺の差が「デッサン力」になって現れてくるわけですが。

ここの部分が一番議論の対象になっているようです。そうですね。確かにおいら意図的に語足らずにしてしまった部分があり,「求められている技能」ってのはあまり本質的な部分ではなくて,所詮アプローチの話なんですよね。

なんで,人物を描く技能を追求していくと,結局背景画を描く部分と同じ所にたどり着いてきてしまいます。その辺を話されているのが,

Re:背景を描けない”絵描き”めぞん六星さまの,

と言うわけではなく、単に建物を見る勉強をしていないとかデッサンの練習をしていないとかそう言う問題だと思います。 確かに人体を描く技術と建物を描く技術は違います。 しかしそれは細かい理由で違っていると言うだけで根本は同じ技術です。 簡単に言うと人体だろうが建物だろうが「見たものを描けばいい」のです。 技術は全く同じです。

その上で対象物を見なくても描けるようになるために「構造を理解する」事をします。
人体なら骨格や筋肉の構造を理解し、建物ならその構造を理解すればいいです。
しかしこれは作画の補助的なガイドであって、本質的には観念的に理解した対象物を想像して描写する事が大事です。
簡単に言うと、何度も何度もデッサンを繰り返していつの間にか描けるようになる事が大事だという事です。
「な~んだ」と思うかも知れないですが職人技とはそう言うものです。
理屈を知ればすぐに描けるようになるものではありません。
目的意識を持って反復練習するしかありません。
その上で、自分の描いた絵が正しいかどうかを検証するためにガイドを使います。
関節はちゃんとしているかとか建物はちゃんと構造上無理はないかとか。

この辺の話になってくるわけです。ここでも話されてますように,重要なのは「構造を理解する」事。結局は理解する対象が人物なのか建造物なのかの違いで,構造を理解しないといけない事自体には変わりはないんです。確かに反復してひたすら描く事は何よりも重要なんですが,そういう戦略もなしにやみくもに前進しても,結果的に得られるものが少ないんです。どうせ時間を使って描くのなら,”戦略をもって描こう”と。

なんで,この辺のを理解するには多くの絵描きが入る人物からというアプローチではなく,既に幾何学的に理解しやすい建造物の構造から入ったほうがそういう観点が身に付きやすいし,応用力も付くんですよね。人物画からそういう構造を理解するという観念にたどり着けるかどうかという問題であって。

そのため,手塚治虫が若かりし頃(戦後10年[1945年~55年ごろ])には,そういう建築系から漫画家に転向した絵描きさんが結構おられたそうです。最近はそういう経歴を持つ人ってあまり聞かないんですけどね。理系としてはちと寂しいばかりです。

でも,結局は同じめぞん六星さまが指摘されてるように,

なので理屈を知らなくても反復練習をすれば描けるようになるのですが、ではなぜプロのアニメーターが背景を描けないのかというと、それは反復練習をしていないからです。 その最大の原因は「キャラは描くのが好きだけど背景を描くのは嫌い」というシンプルな理由によるのです。 「そんなアホな」と思うかも知れないですが、絵を描くという特殊な作業は好き嫌いという感情が大きく関係するものなのです。 なので細かい話ですが「ギャル絵は描けるけどリアルなおっさんは描けない」という人も存在します。

こういう描きたい・描きたくないの話に帰着してしまうわけです。でも,好きなものだけ描くってアマチュアの絵描きならまだ許されると思うんですけど,プロの絵描きとしてそれはどうよ?って話にもなるわけで。ただ,最近は「同人」やさらには「ネット」という妙に中途半端な存在もあるわけで,余計にプロとアマの境界線が不明確になってるんですね。なんで,アマチュア的観念でプロやってるある意味困った人たちも多数出るわけで。

そのあたりのプロとアマチュアの問題って,言い換えれば職人と芸術家の問題にも置換できるわけなんですが,その話はまたおいおいしていきましょうか。

おお,最後になってしまいました。「2次元と3次元」(うみもさま)の,

いわゆる「萌え」って言われる絵ってあんまり3次元レベルでの整合性は必要とされてないと思うんで、余計にそんな絵師が増えてきてるんじゃないかというのが俺の推測

ってのは,これはこれでまた重要な指摘です。ただ時代の大きな流れで見たときに,そういう「萌え」が時代の潮流から外れていったときにどうするのかという問題はあると思うかと。もちろん「好きなものだけ描くから俺はそれでいい」という考えも,アマチュアならありだと思うんですが,プロというお客さんに飯を食わせてもらってる立場ではそうも行かないわけで。あと,同じくうみもさまの”完全に2次元上で経験と感覚で描きあげてしまうわけ。”という話は,少なくとも幾何学的に複雑で理解しにくい人間を描くときならそれでごまかせる(語弊のある表現ですみません)と思うんですが,幾何学的に単純な建造物をその方法論で描いてしまうと,すぐ粗が出てしまうんです。

おいらが建築物の絵はまだ描こうという気になるのも,根っからの理系だからなのかもしれませんね。

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